放射線防護技術編
獣医療における放射線防護の基礎知識
3.小動物のX線撮影 参考ムービーはこちら

(4)X 線装置

 本項目は、獣医療法施行規則(第8条)をそのまま記述したものです。診療施設の管理者が機器を購入する際には、診療用X 線装置の製造者や販売者に、法令で定めるX 線装置の条件を満たしているか確認する必要があります。
 また、中古の装置を購入する際には、現在の規則を満たしているかの確認が必要です。
    ア X 線管の容器及び照射筒は、利用線すい以外のX 線量が次に掲げる自由空気中の空気カーマ率(以下「空気カーマ率」という。)になるように遮へいすること。
      (ア)定格管電圧が50kVp 以下の治療用X 線装置にあっては、X線装置の接触可能表面から5cm の距離において、1mGy 毎時以下とする。
      (イ)定格管電圧が50kVp を超える治療用X 線装置にあっては、X 線管焦点から1m の距離において10mGy 毎時以下で、かつX 線装置の接触可能表面から50cm の距離において300mGy毎時以下とする。
      (ウ)定格管電圧が125kVp 以下の口内法撮影用X 線装置にあっては、X 線管焦点から1m の距離において、0.25mGy 毎時以下とする。
      (エ)1)− から1)− までに掲げるX 線装置以外のX 線装置にあっては、X 線管焦点から1m の距離において、1mGy 毎時以下とする。
      (オ)コンデンサ式X 線高電圧装置にあっては、充電状態であって、照射時以外の時、接触可能表面から5cm の距離において、20μGy 毎時以下とする。
    イ X 線装置には、次に掲げる利用線すいの総ろ過となるような付加ろ過板を付すること。
      (ア)定格管電圧が70kVp 以下の口内法撮影用X 線装置にあっては、アルミニウム当量1.5mm 以上とする。
      (イ)治療用X 線装置及び2)−1に掲げるX 線装置以外のX 線装置にあっては、アルミニウム当量2.5mm 以上とする。
    ウ 透視用X 線装置について付加すべき性能などについては、次のとおりであること。
      (ア)透視時間を積算することができ、かつ、透視中において一定時間が経過した場合に警告音等を発することができるタイマーを設ける。
      (イ)利用するX 線管焦点受像器間距離において、受像面を超えないようにX 線照射野を絞る装置を備えること。ただし、次に掲げる場合には、受像面を超えるX 線照射野を許容するものとする。
      • 受像面が円形でX 線照射野が矩形の場合において、X 線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。
      • 照射方向に対し垂直な受像面上で直交する2本の直線を想定した場合において、それぞれの直線におけるX 線照射野の縁との交点及び受像面の縁との交点の間の距離(以下、「交点間距離」という。)の和がそれぞれ焦点受像器間距離の3% を超えず、かつ、これらの交点間距離の総和が焦点受像器間距離の4% を超えないとき。
      (ウ)利用線すい中の蛍光板、イメージインテンシファイア等の受像器を通過したX 線の空気カーマ率が、利用線すい中の蛍光板、イメージインテンシファイア等の受像器の接触可能表面から10cm の距離において、150μGy 毎時以下になるようにする。 エ透視時の最大受像面を3cm 超える部分を通過したX 線の空気カーマ率が、当該部分の接触可能表面から10cm の距離において、150μGy 毎時以下になるようにする。
      (オ)利用線すい以外のX 線を有効に遮へいするための適切な手段を講じる。
    エ 撮影用X 線装置について、付加すべき条件などについては、次のとおりであること。
      (ア)利用するX 線管焦点受像器間距離において、受像面を超えないようにX 線照射野を絞る装置を備える。ただし、次に掲げる場合にあっては受像面を超えるX 線照射野を許容するものとし、口内法撮影用X 線装置にあっては照射筒の端におけるX 線照射野の直径が6cm 以下になるようにする。
      • 受像面が円形でX 線照射野が矩形の場合において、X 線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。
      • 照射方向に対し垂直な受像面上で直交する2本の直線を想定した場合において、それぞれの直線における交点間距離の和がそれぞれ焦点受像器間距離の3% を超えず、かつ、これらの交点間距離の総和が焦点受像器間距離の4% を超えないとき。
    オ 移動型及び携帯型のX 線装置並びに手術中に使用するX 線装置にあっては、X 線管焦点及び被照射体から2m 以上離れた位置において操作できる構造とすること。
    カ 治療用X 線装置(近接照射治療装置を除く。)では、1)と2)以外に、利用線すいの放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするとともに、ろ過板が引き抜かれたとき、X 線の発生を遮断するインターロックが作動するろ過板保持装置を設けなければならないこと。 次のページへ


参考資料2
X線の原理とX線装置の仕組


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