放射線防護技術編
参考資料
2. X線の原理とX線装置の仕組

1 X線の発生原理とX線の性質

(1)X 線管の歴史

 19世紀末、レントゲン博士がX 線を発見した当時は、多くの科学者がクルックス管(図1)と呼ばれる真空管で真空中の放電現象を観察し、実験しており、レントゲン博士もこの実験中に、暗くした実験室で、クルックス管の近くにあった蛍光紙が光ることを発見しました。さらに、クルックス管と蛍光紙の間に紙や布を入れても光は変化せず、金属板を入れるとその影が見えることに気づき、X 線は紙は通すが金属は通さないことを発見しました。

図1 クルックス管の原理
図1 クルックス管の原理

 「普通の光線は写真乾板に作用する。たぶん、この不思議な光線も同じに違いない。」と考えたレントゲン博士は、妻を説き伏せて手をクルックス管と乾板の間に入れさせスイッチを入れました。

 乾板を現像したところ、骨がはっきりと現れ、そのまわりに筋肉が薄く輪郭を描いているのを見ることができました(図2)。

 このとき用いられたクルックス管は放電実験用の真空管でしたが、X 線の発見以来、X 線を出す目的の真空管が考案されるようになりました。いわゆるX 線管です。その中で、1913年、W.D.クーリッジによって作られたクーリッジ管(図3)は現在のX 線管の原型になるもので広く普及しました。
   
図2 レントゲン博士の妻の手
図2 レントゲン博士の妻の手
図3 国産初のクーリッジ管(1920年、東芝)

形名:ギバX線管(資料提供:東芝科学館)

図3 国産初のクーリッジ管(1920年、東芝)

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