放射線防護技術編
参考資料
5. 事故等の発生に伴う措置

【参考(3)】獣医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について

(農林水産省生産局長通知)

第2 個別事項
    1 エックス線装置の届出に関する事項(第1条)
    エックス線装置に関する届出については診療施設の開設の届出の一部として取り扱われ、1.〜2.に掲げる事項を当該診療施設の開設者は10日以内に、当該診療施設の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。エックス線装置の使用を廃止したとき又は届出事項を変更したときも、同様とする
    • エックス線装置の製作者名、型式及び台数
    • エックス線高電圧発生装置の定格出力
    • エックス線装置及びエックス線診療室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要
    • エックス線診療に従事する獣医師の氏名及びエックス線診療に関する経歴
       これらの事項は、エックス線装置を備えている診療施設に対して放射線障害の防止のための指導及び監督を行う上で必要なものであることから、届出が義務付けられている。
       このうち、2.においては連続定格又は短時間定格の管電圧及び管電流を、3.においては、エックス線装置について規則第8条の措置が講じられているものであるかどうか、エックス線診療室が規則第7条に規定する構造設備の基準を満たしているかどうか並びに管理区域の設定及び敷地の境界における防護措置が適正に行われているかどうかを確認できる事項、放射線防護用具、放射線測定器の保有状況等を、4.においては、エックス線診療に従事するすべての獣医師の氏名、エックス線診療の従事年数、エックス線診療に関する研修の受講状況等を記載する。
       なお、対象とするエックス線装置は、獣医療における使用の実態を踏まえ、定格出力の管電圧が10キロボルト以上1,000キロボルト未満の診療用エックス線装置とする。
    2 エックス線装置等の防護に関する事項
      (1)エックス線診療室の構造設備(第7条)
        ア 第1号のエックス線診療室の遮へい物の防護については、1週間当たりの実効線量とする。なお、この場合の線量は、通常の使用状態において遮へい物の外側で測定する。
         この規定は、エックス線診療従事者等( を参照)の1年間(年50週)における線量限度である50ミリシーベルトをエックス線診療室の構造設備の面から確保するためのものである。
         「人が常時立ち入る場所」とは、獣医師がエックス線装置の操作等を行う場所をいい、「遮へい物」とは、エックス線を遮へいする効果のある鉛板等の入った遮へい壁、防護つい立等をいう。
         したがって、エックス線装置の操作についてはこの遮へい物の外側で行うこととなるが、獣医師自らが透視又は1週間につき250ミリアンペア秒以下で撮影を行う場合に限っては、遮へい物の内部で行っても差し支えないものと解釈されたい。なお、この場合においては、防護衣及び防護手袋を使用すること等により被ばくする線量の低減に努めるよう指導をお願いする。
        イ 同号に規定する実効線量については、次の式により計算することができる。
         E=fx・D
         この式においてE、fx 及びD は、それぞれ次の値を表すものとする。
         E 実効線量(単位シーベルト)
         fx 別表1の第1欄に掲げるエックス線のエネルギーに応じて、第2欄に掲げる値
          D 自由空気中の空気カーマ(単位グレイ)
      (2)エックス線装置の防護(第8条)
        ア 本条に規定する「定格管電圧」とは、ICRP Pub.33及びIEC60601等の国際基準に整合を図るために用いたものであるが、従前の「定格出力の管電圧」を指すものである。
        イ 第1項第1号で規定するエックス線管容器及び照射筒に関する防護については、従前通り、エックス線量によることとされているが、これはエックス線の空気カーマ率を意味する。この場合において、「利用線すい以外のエックス線量」とは、当該エックス線管容器又は照射筒からの漏えい線量のみをいう。
        ウ 第1項第2号に規定する「総ろ過」とは、従前通り装置自身による自己ろ過を含むものである。
         この場合において、治療用エックス線装置を除くエックス線装置の利用線すい方向の総ろ過のうち、アルミニウム当量1.5ミリメートルは常設とする。
         なお、付加ろ過板の質は診療上適宜定められるものであるが、その基準は、おおむね次のとおりとする。
         
        基準
        エ 第2項の規定は、透視用エックス線装置の防護基準として、透視によるエックス線診療従事者等への被ばく線量を抑制するために設けられたものである。
         また、透視を行う場合に当たっては、エックス線診療従事者等は、できる限り防護つい立等の背後で作業するものとする。これができない場合は、適切な他の放射線防護用具を使用するものとする。
        オ 第2項第1号に規定する「透視時間を積算する」とは、透視中の時間を把握し、エックス線診療従事者等の被ばく線量を抑制するためのものである。
        カ 第2項第5号に規定する「利用線すい以外のエックス線を有効に遮へいするための適当な装置」とは、被照射体からの散乱線及びエックス線装置と被照射体との間に設けられた散乱体による散乱線に対するエックス線診療従事者等の放射線防護手段とする。
        キ 第3項の規定は、エックス線撮影の際、被照射体からの散乱線の発生を少なくすることを目的として設けられたものである。
        ク 第3項第2号の規定は、移動型及び携帯型のエックス線装置にあっては、エックス線管焦点及び被照射体からエックス線診療従事者等までの距離を2メートル以上とすべきことを定めたものである。
        ケ 第4項に規定する「ろ過板が引き抜かれたときエックス線の発生を遮断するインターロック」とは、放射線防護のために設けられるものである。 次のページへ


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