放射線防護技術編
参考資料
5. 事故等の発生に伴う措置

【参考(3)】獣医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について

(農林水産省生産局長通知)

      (3)注意事項の掲示(第9条)
       関係者の放射線障害の防止を図るため、診療施設の管理者は、エックス線診療室の目につきやすい場所に、放射線障害の防止に必要な注意事項を掲示しなければならない。

       この場合、「放射線障害の防止に必要な注意事項」とは、放射線測定器の装着に関する事項、事故が発生した場合の応急措置、規則16条に規定するような放射線による被ばく防止に必要な事項等が該当する。
      (4)使用場所の制限(第10条)
       エックス線装置は、放射線障害の防止を図る観点から、原則として、専用のエックス線診療室において使用しなければならない。ただし、1.遮へい壁その他の遮へい物の外側における1センチメートル線量当量率が20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた状態でエックス線装置を使用する場合、2.エックス線装置を移動させて使用しなければならない場合、3.その他エックス線装置をエックス線診療室において使用することが著しく使用の目的を妨げ、又は業務の性質上困難である場合については、エックス線診療室以外の場所において使用しても差し支えないと解釈されたい。

       1.は、遮へい壁その他の遮へい物を設けることによりエックス線診療室と同様の防護措置が講じられている状態にある室であれば、エックス線診療室と兼用しても差し支えないことを規定したものであり、「20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた状態」とは、エックス線装置の外側における利用線すい方向を含むどの部分においても、1センチメートル線量当量率が20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた構造を有する装置を含むものである。なお、この場合、この室はエックス線診療室と同一とみなされるものであることから、規則第7条第2号、第9条、第11条、第12条及び第18条に係る規定が遵守されるべきことは当然である。また、「線量当量率」とは、単位時間当たりの線量当量をいう。

       2.は、手術室において一時的にエックス線装置を使用する場合又は動物の疾病の状態等によっては入院室等からエックス線診療室まで動物を移動させることが困難な場合があることを考慮したものであり、移動型又は携帯型エックス線装置をやむを得ず診療施設内のエックス線診療室以外の場所で使用する場合に限られる。

       3.は、牛、豚等の産業動物等に対しては、放牧地、畜舎内等のいわゆる野外でのエックス線装置の使用が不可欠であることを考慮したものであり、これらの動物に対して使用する場合に限られる。

       なお、2.及び3.の場合においても、規則第11条に規定する管理区域に相当する区域を設定し、必要のない者が立ち入らないようにするとともに、照射方向に注意する等放射線防護のための措置を十分に行った上で使用することが望ましい。
      (5)管理区域(第11条)
       第1項の管理区域については、外部放射線に係る線量が第11条第1項に定める線量を超えるおそれのある場所を管理区域と定めて、当該区域にその旨を示す標識を付さなければならないこととしている。

       なお、これ以外の場所であって、一時的に第11条第1項に定める線量等を超えるおそれのある場所については、一時的に管理区域を設ける等により、適切な防護措置を講じて、放射線障害の防止に留意されたい。

       また、管理区域については、第三者にも容易にわかるよう管理区域である旨及び立入禁止区域である旨を示す標識を付すとともに、区域の境界を遮へい壁その他の遮へい物で区画すること、床上に白線を引くこと等により必要のある者以外の者が立ち入らないようにしなければならない。
      (6)敷地の境界等における防護(第12条)
        ア 本条の規定は、従前通り、診療施設の敷地内に居住する者及び診療施設の近隣に居住する者等の一般人の放射線による被ばくを防止するために設けられたものである。
        イ 診療施設の周辺の人に対する防護については、エックス線診療室又はその周囲に適切な遮へい物を設ける等の措置を講ずることにより、診療施設内の人が居住する区域及び敷地の境界における線量を第12条に定める線量限度以下にしなければならない。
      (7)エックス線診療従事者等の被ばく防止(第13条)
        ア 本条に規定する「エックス線診療従事者等」は、従前通り、「エックス線装置の取扱い、管理又はこれに付随する業務に従事する者であって管理区域に立ち入るもの」である。具体的には、獣医師、獣医師の指示監督の下で動物の保定等エックス線装置の取扱い等に付随する業務を行う、いわゆる補助者等と解釈されたい。
        イ エックス線診療装置の使用において放射線被ばくのおそれのある場所には、原則としてエックス線診療従事者等以外の者を管理区域に立ち入らせないようにする。
        ウ 第1項に規定する「実効線量」は、外部被ばくによる線量の測定によるものである。
        エ 同項第1号の「平成13年4月1日以後5年ごとに区分した各期間につき100ミリシーベルト」とは、5年間のブロック管理で規制することを意味する。具体的には、エックス線診療従事者等の使用開始時期に関係なく、平成13年4月1日から平成18年3月31日まで、平成18年4月1日から平成23年3月31日まで、……という、期間ごとで区切られたブロック管理とする。
        オ 同項第3号の規定について、従前の女子の腹部に規定された組織線量当量については、今回の改正により、妊娠していない女子の腹部で測定される外部被ばくの線量は、実効線量で評価されることとされた。
         この場合における当該女子の実効線量限度は、「女子(妊娠する可能性がないと診断された者及び妊娠する意思がない旨を診療施設の管理者に書面で申し出た者を除く。)については、前2号に規定するほか、3月間につき5ミリシーベルト」とされている。
        カ 第2項に規定する「等価線量」は、外部被ばくによる線量の測定によるものである。
        キ 同項第1号に規定する「眼の水晶体については、4月1日を始期とする1年間につき150ミリシーベルト」については、従前のとおりである。
        ク 同項第2号については、従前の「眼の水晶体以外の組織」で規定していた対象組織が、「皮膚」に変更されたところである。また、皮膚の等価線量限度は、4月1日を始期とする1年間につき500ミリシーベルトとする。
        ケ 同項第3号の規定については、今回の改正により、妊娠中である女子の腹部表面については、本人の申出等により管理者が妊娠の事実を知ったときから出産までの間につき、2ミリシーベルトとされた。
         なお、腹部表面の等価線量は、腹部表面における1センチメートル線量当量で評価することとする。
        コ ただし、女子(妊娠する可能性がないと診断された者及び妊娠する意思がない旨を管理者に書面で申し出た者を除く。)を除く、放射線障害を防止するための緊急を要する作業に従事したエックス線診療従事者等の眼の水晶体に対する等価線量限度(300ミリシーベルト)、皮膚に対する等価線量限度(1シーベルト)が新たに規定された。
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