放射線防護技術編
獣医診療現場における放射線防護の実際
5. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

(2)外部放射線の管理

 使用施設などの外部放射線を測定して、作業環境における放射線従事者等の被ばく線量をできるだけ低くするために、サーベイメータ、エリアモニタなどを用いてモニタリングを行います。放射線管理を徹底するためにも、モニタリングは有効な手段です。

 モニタリングは、目的により一般モニタリングと作業モニタリングに区別して行います。それぞれのモニタリングの内容と特徴を表3に示します。

表3 一般モニタリングと作業モニタリング
表3 一般モニタリングと作業モニタリング

(3)管理区域

 外部放射線の線量が3月間につき1.3mSv を超えるおそれのある場所は、管理区域として一般の区域と標識、柵などを設けて区画します。管理区域では人や物の出入りが制限されます。

 X線診療室では、管理区域が一般住民の居住地と接する場合があります。この場合の規制は、管理区域の規制値ではなく、事業所の境界の規制値である3月間につき250μSv(公衆の線量限度1年間につき1mSv)が適用されます。

(4)管理区域境界の空間線量

 管理区域の境界における線量は、境界の外側で測定します。同じ建物で管理区域と同じ階層の境界及び人が近づくことができる建物の場合は、外壁面、塀や柵が設けられているときにはその外側、使用室の上あるいは下の階に非管理区域があるときには、階上の床面や階下の天井面の線量を測定します。それ以外の場所では、通例、測定位置の高さを床から1mとしています。空間線量が著しく不均等である場合には、人が滞在することを考慮し、実効線量として評価する必要があります。たとえば、扉の各部分の重ね合わせが十分でない場合には、その部分から放射線が漏えいすることがあり、あるいは、ストレッチャー等のスムースな出入りのため沓摺を設けなかった場合には、床とのクリアランスが1cm程度になることもありますので、測定では留意して下さい。


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