放射線防護技術編
獣医診療現場における放射線防護の実際
2. 放射線防護用具 参考ムービーはこちら

(3)防護衣

 防護衣の素材は、鉛ゴムや含鉛ビニールシート又は多元素複合シートで作られています。複合シートの防護衣は軽量ですが、X線管電圧が100kVを超えるX線の遮へい効果が著しく低下すると報告されています。したがって、素材の遮へい効果を調べてから使用することが望まれます。体幹部用には、エプロン型とコート型及びセパレート型(ハーフコート型とスカート型の併用)があります。
    ア 鉛エプロン(図1)
     エプロン型は、背中の部分をたすきがけでホールドするもので、背面は遮へい物で覆われていません。そのために軽量となる利点があり、放射線源に対して後ろ向きで作業しない場合の放射線防護に適しています。エプロン型の使用にあたっては、透視またはIVR 実施時に透視台に対して後ろ向きで作業をしないように常に注意する必要があります。
    イ 鉛コート(図2)
     エプロン型と異なりコート型の防護衣は、背面も遮へい物で覆われるので、透視又はIVRの術者、補助者、女性等すべての放射線作業従事者に用いることができますが、エプロン型に比べて重いのが欠点です。
    ウ ハーフコートとスカート型の組み合わせ
     コート型の防護衣は、重く身体への負荷・負担が大きくなり、特に腰痛や疲労を増加させる傾向があります。腰椎などに負担を軽くさせるような上下セパレート型があり、これを用いると身体的負担の軽減に役立ちます。
図1 鉛エプロン
図1 鉛エプロン
図2 鉛コート
図2 鉛コート

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