■X線装置に関する放射線防護  
1.基本事項  
■放射線による突然変異の発生
 

放射線は遺伝子を傷つけ,突然変異を誘発します。生殖細胞に誘発された突然変異は次世代,さらにその子孫へと伝えられ,遺伝性疾患の増加につながります。遺伝的影響の際立った特徴はその影響が長く子孫まで持続することにあります。
放射線によって突然変異を誘発することは植物,ショウジョウバエおよびマウスへの影響から調べられてきました。

突然変異率を変化させる要因は,
線量:被ばく線量に依存して突然変異率も増加する。
分割照射:
多分割照射で小線量を繰り返し照射した場合は1回照射よりも突然変異率は低くなる。
線質効果:放射線の種類,特にLETが異なった場合,LETが高くなるにつれて突然変異率は高くなる。
生殖細胞の時期:精原細胞や卵原細胞は突然変異率は低く,減数分裂後の精母細胞や卵母細胞は高くなり,精子では突然変異率は低くなる。

ヒトのおける遺伝的影響について調べた研究結果は多くありません。しかし,国際放射線防護委員会は,安全を強く意識して,遺伝的影響および身体的影響を含めて線量限度を提案しています。