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放射線により組織障害がおこり,それが適切に修復されないと細胞の再増殖が妨げられます,または,生きている細胞に何らかの変化,放射線被ばくの遺産として保持しうる変化,つまり突然変異をもたらす。この突然変異が何らかの影響によって形質が転換し,進展することによって発癌が起こると考えられています。
放射線発がんでは放射線被ばく後,放射線以外の要因が段階的に作用してはじめて起こります。放射線発がんの場合,発がん率は線量に依存する閾値なしの確率的影響と考えられています。しかし,確かに放射線の被ばくによって発がんのリスクは高くなりますが,必ずしもすべての臓器でリスクが高くなるわけではありません。原爆被爆者の発がん部位別にみた放射線発がんリスクから,リスクが高くなった臓器は骨髄,乳腺,甲状腺,肺および胃などですが,リンパ性慢性白血病や子宮,結腸はリスクが低いようです。このように放射線発がんはさまざまな要因が関与し複雑であるため,放射線影響にはまだまだ明らかにされていないことが残されています。 |
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