放射線が全身に照射されたときにもさまざまな症状がでます。まず,全身照射されたときに2〜3ヶ月以内に起こる障害を急性障害といいます。この急性障害で問題となるのは,事故などによって全身被ばくしたときの放射線急性死です。
放射線急性死には大きく4つに分けられています。
1)骨髄死,2)胃腸死,3)中枢神経死,4)分子死である。
骨髄死は2〜10Gyの線量を受けたとき30日以内に大半が骨髄障害で死亡します。造血機構の障害をきたし,血球減少症が起こり,これに伴い感染症も出血により死亡します。しかし,この程度の線量であれば輸血などの対症療法で治療は可能であり,適切な治療で大半が治癒します。
胃腸死は10〜50Gyの線量を被ばくしたとき3〜14日程度の潜伏期間を経て,強い胃腸障害の症状を示し死亡します。症状は食欲不振,激しい下痢(血便など),発熱などである。高線量の場合には,治療は難しく多くは死亡します。
中枢神経死は100Gy以上の線量を被ばくしたとき,2日以内に脳血管系の障害で死亡します。症状としては痙攣,振せんなどです。
さらに高い線量,1000Gy以上では即死する。これは全身の細胞が急速に機能不全となり,分子死と呼ばれています。 |