■X線装置に関する放射線防護  
1.基本事項  
■放射線による細胞膜の損傷
 
放射線のターゲットはDNA以外には細胞膜であると考えられています。
放射線による細胞膜の損傷は細胞膜のリン脂質の過酸化が重要と考えられています。
放射線によって生じたラジカルが細胞膜のリン脂質に作用し,過酸化脂質が生成されます。細胞膜損傷も軽度の損傷,中程度の損傷,重度の損傷と,損傷の程度によって細胞応答も異なってきます。
例えば,過酸化リン脂質が軽度に生成された場合,この損傷に応答して,生体防御機構のストレス応答機構が活性化され,細胞の抗酸化応答が誘導された場合には,正常に生存できます。しかし,中程度の過酸化脂質が生成された場合には,ストレス応答機構としてプログラム細胞死が誘導され,アポトーシスへと陥ることが知られています。また,非常に重度に過酸化リン脂質が生成されると,細胞の構造や代謝が傷害を受け,ストレス応答機構が誘導されなくなるので,細胞は崩壊します。つまり,ネクローシスに陥ることになります。