■X線装置に関する放射線防護  
1.基本事項  
■直接効果と間接効果
 
細胞などに放射線を照射したとき,標的分子が受ける放射線の作用には直接効果と間接効果が知られています。
直接効果とは,放射線エネルギーが生体分子に直接与えられ,電離や励起などを起こして標的分子自身が変化し,細胞が傷害されることをいいます。
間接効果とは,放射線のエネルギーが直接に標的分子に与えられず,他の分子を介して間接的にエネルギーが与えられることによって影響を生じることをいいます。生体では放射線は,主として水分子に作用してラジカルが生じ,このラジカルが浮遊・移動し,標的の分子に作用して傷害します。例えば,放射線の重要なターゲット分子であるDNAに対しての効果を模式的に示す。
直接効果では,放射線のエネルギーをDNA鎖が直接吸収し,DNA損傷を生じます。一方,間接効果では,放射線のエネルギーを水分子が吸収し,生成されたラジカルがDNA鎖と反応してDNA損傷を生じます。生体ではこの間接効果による影響が主体で、重要視されています。