放射線防護技術編
参考資料
3. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

7 施設のモニタリング

(3)測定上の注意

 放射線測定器を使用する場合は、以下のことに注意して測定を行います。

 測定器は、電子機器を組み合わせたデリケートな機器です。測定を開始する前に、以下のことに注意しましょう。
  • 冬場のように空気が乾燥している場合は、身体に静電気が帯電しやすいものです。静電気は測定器に悪影響を与えやすいので、帯電しにくくします。
  • 測定器は丁寧に取り扱い、ぶつけたり、落としたりしないようにします。
  • ケーブル類は、信号の流れ道です。強く曲げたり、引っ張ったりしてはいけません。断線したり、誤信号が入ったりします。
  • 測定の目的にあった測定器を選択しているか、バッテリーが規定の電圧があるか、時定数の設定値は適正か、電源スイッチをON にして動作するかをまず確認します。
  • 測定を開始する前に、人工放射線の低いところで、バックグランド値の測定を行います。
    (通常、測定器を管理する場所のバックグランド値を測定しておき、その値と比較することで、測定器の安定性もチェック出来ます。)
    ア 管理区域
      (ア)測定箇所の選定
       X 線発生装置の設置位置、作業場所、境界までの距離、遮へい体の厚さなどを考慮して、計算によって1cm 線量当量を求めて測定箇所を選定しておきます。
      (イ)測定
       測定は、あらかじめ計算によって求めた1cm 線量当量の低い箇所から逐次高い箇所へと行います。
       据え置き型の測定器では、床面より1〜1.2m の高さに設置して行います。
       サーベイメータの場合には、身体の正面で身体から30cm 程度離して持ち、床面から1〜1.2m の高さで測定します。
      (ウ)測定はX 線を発生させながら行うので、測定者は、個人被ばく線量計を装着し、場合によっては防護衣の着用など、必要な措置をとります。無駄な被ばくを避けるため、測定は手際よく行わなければなりません。
      例えば、サーベイメータの場合、メータの振れに惑わされないためには、サーベイメータの時定数の約3倍の時間間隔でメータの指示値を5〜10点読み取り、測定値はそれらの結果の平均値とする、といった方法もその一つです。
    イ 敷地内居住区及び敷地内の境界
      (ア)あらかじめ、測定点は、X 線発生装置からの距離、遮へい壁の厚さ、発生装置の台数などを考慮して、最大となる点を計算により求めます。
      (イ)測定器の取り扱い及び注意事項は、管理区域の測定法と同様にして行います。

(4)管理基準

    ア 管理区域境界
     線量率計を使用する場合は、時間当たりの線量を求めることになるので、1.3mSv を3月間で使用するX 線装置の最大使用時間で除した数値を測定値が超えていないことを確認します。積算型線量計を用いる場合は、壁面等に3カ月間設置し、管理基準を超えていないことを確認します。
    イ 敷地内居住区域及び敷地の境界
     3月間で実効線量が250μSv 以下。

     この値をサーベイメータ等で測定することは、非常に困難です。

     高感度のサーベイメータを使用し、漏えい放射線の有無を検知し、まずは定性的な測定を行います。定量的な測定は、積算型の測定器で実施するのが実用的です。
図12 構造設備及び管理区域の線量限度
図12 構造設備及び管理区域の線量限度

(5)記録

 測定結果は、指定された記録用紙に記録し、保管します。

 積算型線量計を用いて長期間の測定を行った場合は、限度値を超えていないことを評価して、測定記録を保管します。


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