放射線防護技術編
参考資料
3. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

5 校正(正確な放射線量の測定)

 放射線防護の前提は、正確な放射線量の測定と評価にあります。放射線の存在を知り、量を正しく評価することです。このためには、測定器がいつも正しい値を示さねばなりません。一般的にサーベイメータと呼ばれる測定器は、検出部と信号処理のための電子機器で構成されています。これらの機器は、使用材質の純度、環境条件、使用部品のばらつき、経年変化などにより感度が変化してきます。このため、測定値から正しい値が読み取れるように、測定器は校正を行わなければなりません。

 校正の方法は、以下の2通りがあります。

(1)置換法

 X 線またはγ 線による線量率を、基準測定器で測定します。測定器を設置する場所の線量率を求め、その同じ位置に被校正測定器を置き、測定器の指示値と、基準線量計の読み値を比較することで校正します。

(2)線源法

 指定された位置で、照射線量率、または1cm 線量当量率が既知である基準γ 線源を用い、指定された位置、もしくは距離の逆2乗推定法で被校正測定器を置き、指示値を読み取ります。基準線量率、または逆2乗推定によって減衰した線量率と、指示値を比較することで校正します。

 基準線源による線量または線量率、または基準測定器の読み値をI0、被校正測定器の指示値をI とすれば、校正定数(K)は、K = I / I または I = K・ I で定義されます。

 実際に校正を行う場合には、校正台や周辺からの散乱線の影響を小さくするため、周りに障害物のない広い部屋で行う必要があります。線源及び線量計は床面より1.2m 以上の高さで、机等の上に載せる場合は、天板より20cm 以上浮かせることが必要です。机の上では、散乱線を少なくするために、プラスチック製品や発泡スチロール製品などを利用すると良いでしょう。

 測定器は、使用状況、保管状況、測定器の諸特性によって安定度が異なります。通常、1年に1回以上は校正を実施すべきです。


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