放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

22 放射線による発癌リスク

 放射線により組織障害が起こり、それが適切に修復されないと細胞の再増殖が妨げられます。または、生きている細胞に何らかの変化、放射線被ばくの遺産として保持し得る変化、つまり突然変異をもたらす。この突然変異が何らかの影響によって形質が転換し、進展することによって発癌が起こると考えられています。

 放射線発癌では放射線被ばく後、放射線以外の要因が段階的に作用してはじめて起こります。放射線発癌の場合、発癌率は線量に依存する閾値なしの確率的影響と考えられています。しかし、確かに放射線の被ばくによって発癌のリスクは高くなりますが、必ずしもすべての臓器でリスクが高くなるわけではありません。原爆被ばく者の発癌部位別にみた放射線発癌リスクから、リスクが高くなった臓器は骨髄、乳腺、甲状腺、肺及び胃などですが、リンパ性慢性白血病や子宮、結腸はリスクが低いようです。このように放射線発癌はさまざまな要因が関与し複雑であるため、放射線影響にはまだまだ明らかにされていないことが残されています。

表3 原爆被ばく者の発癌部位別にみた放射線発癌リスク
表3 原爆被ばく者の発癌部位別にみた放射線発癌リスク


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