放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

11 放射線による細胞への影響の開始点とシグナル伝達経路

 放射線照射により細胞核のDNA が損傷を受け、DNA 損傷をモニタリングする(探し出す)分子機構が活性化されます。

 この活性化によりシグナルが伝達され、転写が活性化されて、細胞死、アポトーシス、または細胞周期停止などの細胞応答が引き起こされます。また、放射線による細胞膜の損傷によって細胞膜損傷シグナルが活性化し、転写因子が活性化されます。これらの分子が活性化されることによってもアポトーシスや細胞周期停止の応答が引き起こされます。

 近年では、DNA 損傷や細胞膜損傷による細胞応答は独立した機構だけではなく、DNA 損傷モニタリングシステムは細胞膜介在キナーゼに関与しており、また、細胞膜介在キナーゼと細胞膜損傷シグナルはお互いにフィードバックがかかっている関係であると言われています。このように、放射線による細胞応答は非常に複雑なシグナルのネットワークを介して引き起こされることが、最近の研究によってわかってきました。


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